空と海が結ぶ場所「レインー」
遠くから名を呼ばれた。聞き慣れた声が鼓膜を打つ。
さざ波の音が心地よく響く朝。真っ青な空から照る太陽の光はすでに強く肌を刺すが、潮風がさわやかに髪を撫でる。
振り返らずとも声の主はわかっていた。ほんの少し前までは知り合うはずもない人だった、遠い海の向こうの国の王女様。今ではこうして、この島に滞在している間は毎日のように顔を合わせていた。
「おはよう、フレア」
名前で呼ぶよう言われたのも、もう慣れてしまった。敬称や「姫」では、不満げな顔をするのだ。実際、フレアはお姫様らしくない快活な性格だった。
「おはよう。これから、哨戒でしょ? 私も連れていって」
「ええ?」
フレアの言葉にレインは、驚きというよりはあきれたような表情を返した。
イルヤ島の復興の情況を見てくるようリノ王に言われて、帰って来たのが昨日のことだ。報告すれば、今日は近海の哨戒任務についてくれと頼まれた。命令じゃないのがあの人らしいけれど。イルヤまでの往復の疲労なんてお構いなしだ。
それで、朝から哨戒船の準備をしていたのだ。たかが哨戒とはいえ、海には魔物も棲息しているし危険が多い。そんな海へ、王女を連れ出すわけには。
そこまで考えてから、レインはフレアに初めて会ったときのことを思い出した。
自分たちを助けてくれたオベルの哨戒船。それに乗っていたのは、ほかでもない目の前の人物、フレア王女だった。
「だめだよ。危険だから」
それでも、やはり連れていくわけにはいかない。フレアの弓の腕は誰もが認めるものだし、レイン自身、信頼を置いていた。しかしそれは、先の戦争中でのことだ。
「あら。セツみたいなこと言うのね。レインったら、似てきたんじゃないの?」
君のそばにいれば誰だって心配性になるさ…、そう言いかけてやめる。言っても無駄なことは学習していた。やはり、親子は似る、というところか。
「お父さんが、レインと一緒ならいいって言ったのよ。レインなら安心できるって」
「…それは…、買いかぶりすぎじゃないかな…」
あの人も一枚かんでいたか。知らず、ため息をつく。リノ王から受けた任務にはトラブルがつきものだ。イルヤ島での騒動を思い出す。まあ、たいしたことはなかったけど…
「そんなことないわ。あなたのことは、お父さんも私も信頼してる。あなたがそれに足る人物だからよ」
フレアはレインをまっすぐ見据えた。空の色の瞳に自分が映るのを、レインは少し照れながら見る。
「…ありがと。それなら、連れてくけど…、絶対、僕のそばを離れちゃだめだからね?」
このお姫様には敵わない。なにより自分がそれを楽しんでいるのだから始末が悪い。
「ええ。もちろんよ、私の騎士様」
ふたりでくすり、と笑い合う。
笑い声は海からの風にさらわれていった。
end.
わああ。だいすきなんですこのふたり、…をからめるのが。(わあ)
ラプソディアでの会話はうはうはです。自分でやってないんで全部見てませんが…。見たら書きたくなった、突発モノ。
まあふたりは友達くらいの関係ってかんじで。きょうだい、みたいな。(実際おそらく姉弟なんでしょうが…)自分の中では種のキラカガに通じるものがあります。
騒動についてはとくに考えてませんが、たぶんまんじゅうの取り合いとかがあって4様も参戦したってとこじゃないですかね(てきとう)
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