シスター「いいか!? 私が! 姉さんだからな!」
すべてが終わり、休息の時間へ移行しつつあった艦内。ジェネシスの2射目は撃たれることなく、窓から見える地球は今も、蒼く美しい。
メディカルチェックを受けた後、通路を進んでいると金色の髪に出くわした。もう見慣れたそれは、自分の双子のきょうだい――――カガリのものだ。
自分とカガリがきょうだいだと知ったのは、オーブを脱出し宇宙に上がってすぐのことだった。カガリがウズミに手渡された、ふたりの赤子とそれをいだく優しげな女性の写真。初めて見るそれの裏には、カガリと…自分の名前。重なる戦闘や機体の整備、訓練などでごたごたしていてそのままになっていた。そして知った…メンデルで、自分の出生の秘密を。
「カガリ? どうしたの、いきなり」
「?%E:421%#オもひとまず鎮静化してきたから、ここではっきりさせておく」
「どちらが兄姉で、どちらが弟妹か、ということを?」
カガリはどちらかというとおおざっぱな性格だけど、ことこういったことに関しては真相をはっきりさせたがる。付き合いは短いけれど、そのくらいはわかるようになっていた。
「そうだ。私のほうがしっかりしているし、おまえが弟だ」
「そんなの…どっちだっていいじゃない」
「よくない!」
しっかりしてる云々の真偽はともかく。双子なのだから、別にどちらが上だっていいじゃないか。カガリが姉だと言い張るならそれでかまわない。それより、きょうだいだという事実を自然と受け入れてしまっているカガリは、懐が広いのか単純なのか。自分は、あのひとに聞いた話を疑うつもりはない。あの写真も、ウズミの言葉も。自分とカガリは、双子の―――――
(………そうか)
唐突に開ける思考。
自分の出生を考えれば簡単なことだ。
自分は人工子宮から生まれ、カガリは母胎から自然に生まれた。人工子宮ならば出産を調整することも可能なはずだ。
カガリが生まれ…それに合わせて、自分が取り上げられた。
もちろん、出生のことも本当の両親のことも、カガリに話すつもりはない。ただ、哀しくつらいだけだ。カガリが知りたいと願うならば、話してもよかったけれど。
カガリはもう、未来を見つめてる。
「僕は、カガリが妹だと思うな」
カガリの主張を適当に肯定しようとしていたのを、中断してそう言ってあげる。
「ほら、お兄ちゃんって呼んでみてよ」
「ふ、ざ、けるなーーー!!」
なんの根拠もなく、姉だと言い張るカガリ。それがすごく好ましく思えた。
過去に縛られたくはない。だから。
「これからみんなに紹介しようか、僕の妹のカガリですって」
「姉だと言っているだろう!!!」
だから否定してみよう。
そう、別に。
どちらが上かなんて、どっちだってかまわないんだから。
end
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なにが書きたかったんだか
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